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【マッチレビュー】2025ジョージア代表マッチプレビュー

日本代表との試合に向けて

みなさんこんにちは
日本代表の試合も、残すはジョージア戦のみとなりました

今回は、そのジョージア戦に向けて、ジョージア代表がこの秋戦ったアメリカ戦とカナダ戦を振り返りながら、どのようなチームであるかを確認していきたいと思います

◆ジョージアのアタック構造

ジョージアのアタックは、基本的には構造的に大きく崩そうという動きというよりかは、接点で相手を上回ることでリズムを作り出そうとするイメージです
セットピースから始まるストライクプレーでも前に出る意識が強く、個々人の強さでの打開を図ってきます

アタックのベースになるのは3人ポッドで、接点を安定化させながらも3人ポッドによる「アタックの硬さ」を生かしながら前に出てきます
12番も積極的にポッドに入って接点を作ったりと、チーム全体としてポッドをベースにしていることがわかります

基本的な比率としては1−3−3−1になっているかと思いますが、停滞したときは3人ポッドをエッジ方向に回り込ませて3−3−2を作ったり、セットピースからの連続フェイズで中央の6人を4−2でスプリットしたりと、多くの工夫が見られました

基本的なトライ構造としては、後述するセットピースで圧倒し、敵陣深くにキックで入るところから始まります
敵陣深くから始まったポゼッションでポッドをベースとして連続アタックを繰り広げ、相手のディフェンスをラック近くに誘導することで生まれる外方向の数的優位性を生かし、BKで取り切るという形がアタックの土台になっていました

ポッドの使い方もうまく、できるだけ外側の相手にコミットするように、少し流れながら相手との接点を作ります
そのことによって相手ディフェンスはより一層ラックを挟んで反対方向にフォールディングをする必要が生まれ、そこが滞ると外方向への数的優位が生まれる、という構造になっています

また、アタックの脅威度という意味ではBKの攻撃力も無視できません
14番のシャルバ・アプチアウリはカナダ戦でハットトリックを達成していたりと、バックスリーに走力のある選手が揃っており、ラインアウトモールといったセットピース起点のトライと同じくらい、バックス展開を使ったトライも見られています

BKがリードするアタックの形としては、スイングと呼ばれる形が好んで用いられていました
スイングとは、ラックやセットピースの裏、または反対側からアタックラインに対して回り込むように参加し、後出しで数的優位を作り出そうとする動きです

ジョージアのBKはセットピースからのシークエンスなどで好んでこの動きを用いており、基本的なフォーマットとして定着していることが予想されます
全体的にミスも少なくないのでチャンスを作りきれないシーンもありますが、日本代表はスイングで数的優位を創られることに後手に回る傾向もあるので、安易な楽観視はできません

◆ジョージアのキック戦略

ジョージアのキックの基本戦略は「パント&ラッシュ」にあると考えられます
つまり、高い軌道のボールを蹴り上げ、確保した相手選手に激しいプレッシャーをかける動きをベースにしています

グラウンドのハーフラインから自陣22mまでの間のエリアでは、特に好んでこのパント&ラッシュを使っており、相手にプレッシャーをかけてターンオーバーを果たしているシーンが散見されました

再獲得を狙っているシーンも見られてはいたのですが、平均的な飛距離は20〜25mあたりと再獲得を狙うボックスパントとしては少し長めの印象で、再獲得にそこまでこだわっていないのではないか、と予想しています
ただ不安定なだけ、という可能性もあるので、ここはさまざまな意味でも注意が必要ではないかと考えました

パント系のボールを再獲得ができた際は、かなり早いフェイズで相手の裏に蹴り込んでくることがあります
エリアのコントロールはかなり意識している様子で、敵陣22mよりも自陣側のエリアからでも中盤でそこまでキャリーを繰り返さずに裏を狙う様子が普段のフェイズでも見られています

ただ、相手のキックを踏まえた全体的なキック戦略という観点でいくと、不安定な様相も見られています
想定した位置関係が甘いのか相手のロングキックで裏を取られるシーンが散見され、バックフィールドの選手が後退してボールを確保しにいくシーンが散見されていました

相手のパント系のキックに対しても、クリーンキャッチの精度はそこまで高くないように見えます
ディフェンスに参加していたフロントラインの戻りも遅く、ミスへの対応が後手に回ることもありました

◆ジョージアのセットピース

ジョージアの強みは、周知の事実となりますが、何よりもFWによるセットピースです
スクラムもラインアウトも強烈で、相手のペナルティを誘発したり、いい形でのポゼッションを作り出したりと、セットピースの強さからアタックの安定感を出しています

特に、ランキング下位の国との試合ということもあってか、スクラムでは2試合とも相手を圧倒しており、どちらボールでもスクラムペナルティを獲得したり、反則にならずともクリーンに相手ボールをスクラム内で奪ったりしていました
早い時間帯では反則を取られるシーンもありますが、勘を掴んでくると手がつけられなくなる印象です

また、ラインアウトからのモールも強力で、2試合でも複数のモールトライを見せています
ゴール前からは複雑なムーブを使わずにモールを組んで押し込もうとしてくるので、最低限ここからの失点を抑えることが試合のキーになってきます

一方で、中盤でのマイボールでのラインアウトが安定しているかというと必ずしもそういうわけでもなく、競り合うことによって意外とミスが起きている印象です
直近の試合であるカナダ戦では73%の獲得率に止まったりと、ここに関しては不安定な様相を見せていました

◆ジョージアのディフェンス

ジョージアのディフェンスは「接点の強さ」「順目に回る意識」がキーになってくるのではないかと見ています
これまでの項目でも触れてきた通り、接点という観点では安定感があるジョージア代表は、前に出るベクトルが強いディフェンスをしています

特に9シェイプや10シェイプといったポッドが、キャッチ&ラン、つまり走り込みながらダイレクトにボールを受けるというよりも、ボールを受けてから前に出ようとする動きをする場合には無類の強さを誇っています
ディフェンス間のスペーシングも狭めで、接点で圧力をかけようとしていることが予想されます

反面ダイレクトな動きやフラット気味に受けてキャリーを見せる相手に対しては少し受け身になる様子もあり、接点をどちらが優位で作るかによってディフェンスの質が変わってきます

順目に回る意識に関しては非常に強く、FWの選手も丁寧に順目方向に回ってきます
オープンサイドにディフェンスの人数をかけることによって、ディフェンス自体の安定感を担保しようとしていることが考えられます

順目へのフォールディングにこだわる理由としては、おそらくできる限り前に出続けたいという意識があるのではないかと思います
試合の様子を見ている限り、あまりスライドする形のディフェンスを取らないようにしている様子が見受けられ、ラッシュアップとまではいかないまでも、エッジに立つ選手までしっかりと相手ラインに詰めようとする様子が見られました

ただ、順目方向への意識と前に出る意識が重なった結果、ラックに近い位置に若干のウィークポイントが生まれている可能性があります

順目に回る中でそこまでピラーに対する意識が高いわけでもなく、ピラーに入った選手も前に出ることを優先するので、結果的にラックから最も近いスペースが薄くなりやすく、SH役のパスダミーなどで前に出られていました
もしかすると、日本代表の竹内選手が得意とするようなタックルを受けてからのリリース→再キャリーのフローがハマるかもしれません

◆まとめと試合の展望

ジョージア代表と戦う上では、最低限「セットピース」「接点」で上回る必要があります
この二つの要素をベースにスコアしたり、アタックのリズムを使ってくるので、ここを封鎖することで相手のアタックを抑え込むことができます

現状多く注目を集めているのはFW陣ですが、個人的にはBKへの注意も払わなければいけないと思っています
コントロールされたアタックとエッジでのブレイクを作り出しているのは間違いなくBKのスキルだと思っているので、ここに関してもディフェンスからプレッシャーをかけていきたいところです

また、「ハイボール処理」「スイングによる数的優位」にも注意が必要です
日本代表はオーストラリア戦から始まる強豪との連戦で、これらの要素に安定感は出てきたものの後手に回るシーンもありました
今シーズンの終わりに向けて、これらの要素で相手を抑え込むことで試合を締めることが求められます

今回は以上になります
それでは!

TAKASHI IMAMOTO
TAKASHI IMAMOTO

1994年生まれ、東京出身。九段中等教育学校→筑波大学。大学・大学院での学生トレーナー経験を経てNECグリーンロケッツでアナリストとしてのキャリアをスタートする。NECグリーンロケッツ東葛で2年間活動し、退団後はフリーアナリストとして個人・団体からの依頼で分析業務に携わる。また、Webマガジン「Just Rugby」にて分析記事を連載中。

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